↑いとうさん
いとうさんの御告げ ~エピソード1~
「君は常識なんか信じないって
まるで常識のように言うけども、
常識を疑う事が常識になっっちゃったしたら、
常識を信じることが非常識になっちゃったりして。
なんちゃって。」
といって
いとうさんは笑いながらビスコをくれた。
その日の夜、
暗い玄関にある黒い革靴の上に居た黒いゴキブリを、
そっと玄関の外へ逃がしてやると、
いつもは素早いゴキブリは、
とぼとぼとさびしそうに
ゆっくり隣の家の方に歩いていった。
いつもは黒光りした背中が気分の悪いものに見えたが、
その日はなぜか哀愁に満ちて見えた。
完。
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